教育

外国人の子供の教育の落とし穴

マレーシアでの生活を終えて、日本に本帰国した後、海外での経験を活かすために、日本語教育ボランティア活動に参加しています。

最近、僕の住む町にも外国人の方々が、年々、増えて来ています。

今回は、「外国人の子供の教育」について、塾講師の視点から、注意すべき点をまとめてみました。

落とし穴①

多くの外国人の子供は、「算数」が苦手です。なぜでしょう???

たとえば、ここに、2人の外国人の小学生の子供がいるとします。

Aさん:日本で生まれて、日本で育った、日本語を話せる日系外国人

Bさん:小6で日本に来て、まだ日本語を知らない外国人

この2人が、これから勉強して、数年後に高校受験をします。

合格し易いのは、どちらの子供でしょうか???

 

答えは、、、

 

Bさん(まだ日本語を知らない外国人)です!!!

※個人差がありますので、絶対ではありません。

 

おそらく、ほとんどの方は、Aさん(日本生まれ日本育ちの外国人)の方が、合格しやすいと考えたと思います。

そこが、外国人の子供の教育の「落とし穴」なのです!!

日本で生まれ育った子供は、日々の日常生活で使う日本語は、ふつうに使えます。

そのため、周囲の家族や先生は、「この子は、日本語は出来る」と思っています。

でも、算数で使う日本語は、日常会話の日本語とは、まったく違います!!

 

 

例えば、以下の問題は、小6テキストの抜粋です。

「ハムスターのえさを買ってきました。このえさの、8分の3にあたる15㎏を使いました。買ってきたえさは、何㎏ですか?」

普段の日常生活で、「えさ、8分の3、使ったよ~」という会話はしません!

そのため、この問題文を読んだ外国人の子供は、

「8分の3に『あたる』15㎏」の意味が分かっていません。

「あたる」って何???と感じています。

日常生活で使う「あたる」とは、全然、意味がちがいます。

手に物が「あたる」。一等賞が「当たる」は使いますが、8分の3に「あたる」15㎏という言葉を日常生活で使っている外国人の子供は少ないはずです。

日常生活の日本語が出来る=算数の日本語が出来る、というわけではないのです。

 

 

専門的に言うと、

「生活言語能力(BICS)」と、「学習言語能力(CALP)」は、まったく別物!!!

ということになります。

 

この2つの能力の違いを理解していないと、

親や教師は、「この子は、日本語は出来てる。でも算数の点数が低い。きっと、算数が苦手なんだな~」と、勘違いしてしまいます。

でも、本当は、算数が苦手なのではなく、そもそも、算数の日本語が理解できていない場合が多いのです。

問題文の「音読」は、すらすら出来ますが、「意味」を理解できていないケースが多いです。

問題文の漢字を読める=問題文を理解している、というわけではないのです。

 

 

AさんBさんの高校受験の話に戻りますが、

Aさん(日本生まれ日本育ち)は、日常会話の日本語が出来るため、「日本語は大丈夫!」と思っています。そのため、算数などの「教科としての日本語」を勉強しません。その結果、点数が低くなりがちです。

Bさん(小6で来日これから日本語を勉強)は、日常会話の日本語と同時に、算数などの「教科としての日本語」も、必死に勉強します。そのため、点数が上がりやすくなります。

結果的に、Bさんの方が、高校受験の合格確率が上がります(※個人差はあります)

 

 

落とし穴②

日本で生まれ日本で育った外国人の子供は、高校に入学後、約10人に1人が高校を中退しています。なぜでしょう???

これは、「母語の重要性」が関係しています。

日本で生まれ育った外国人の子供の「母国語」は、日本語?外国語?どちらでしょうか?

ほとんどの親が、このことを意識していません。

母国語の選定」をせずに、中途半端に2言語を学ぶと、脳が混乱して、脳の発達が遅れます。

その結果、純日本人(日本語を母国語)と比べて、学校の各科目の理解が遅れていきます。

テストの点数も低くなり、学習への意欲を失い、学校を中退する子が多くなります。

そのため、早い段階で、家庭の中で、母国語を決める必要があります。

 

 

では、日本語と外国語、どちらを母国語として教えればよいのでしょうか?

 

 

答えは、、、

 

 

外国語(親の母語)です。

 

親は、自分の母語(自信のある言葉)で、子育てをした方がよいと思います。

ムリやり自分の苦手な日本語を、母国語として教えると、うまくいかない場合があります。

子供が幼少期のうちに、家庭内で自分の母語を、母国語として教え、しっかり言語の土台を作った上で、日本語は外部で学ばせる、という形が望ましいと思います。

教育現場では、なにも母国語が定まっていない、日本語も外国語も不十分な状態の外国人の子供が、たくさんいます。

母国語が安定しないため、授業についていけず、学校のテストの点数が低い子も多いです。

 

 

年々、外国人の子供の数は増加しています。1年間で新しく出生する子の50人に1人は、外国人です。

外国人の子供の教育問題、今後、大きな社会課題になっていきそうです。